登山届は6県で条例の義務になっている

登山届は、多くの山では「出したほうがよいもの」ですが、6県では、決められた区域に入るなら条例上の義務です。うち5県には罰金または過料の定めがあります。 山梨県はこれに努力義務という形で加わり、条例を持つ県は全部で7県です。 どこで、いつ、どの区域が対象かは県ごとにまったく違います。

なぜ届出が捜索の起点になるのか

遭難が起きたとき、最初に必要になるのは「どこを探せばよいか」です。登山届にはルートと日程が書かれているので、 これがあるかないかで捜索の範囲が変わります。 条例で義務づけている県は、いずれも過去に大きな事故が起きた区域を対象にしています。 富山県の剱岳周辺(冬季)と群馬県の谷川岳は1960年代から、 岐阜県・新潟県・石川県の活火山地区は御嶽山の噴火のあとに指定されました。

このサイトが掲載している事案でも、連絡手段の有無で捜索の前提が変わることは数字に出ています。届出はその前段にあたります。

条例で提出が求められている県

都道府県対象の区域・期間扱い罰則
富山県12月1日から翌年5月15日までの、剱岳とその周辺地区。登山日の20日前までに提出する義務5万円以下の罰金または科料
群馬県3月1日から11月30日までの、谷川岳の危険地区(マチガ沢・一ノ倉沢・幽ノ沢と南面の岩場)義務3万円以下の罰金
岐阜県北アルプス地区と、活火山地区(御嶽山・焼岳・白山・乗鞍岳)義務5万円以下の過料
新潟県新潟焼山の活火山地区(山頂から2km以内)義務5万円以下の過料
長野県県が指定した指定登山道。指定登山口から入らなくても、一部を通れば対象になる義務なし
石川県白山の活火山地区(火口域から4km以内)義務5万円以下の過料(火口域から2km以内に登った場合)
山梨県安全登山推進区域(富士山・八ヶ岳・南アルプスの一部)は通年で努力義務。12月1日から3月31日までの安全登山推進重点区域は義務努力義務(一部は義務)なし

罰則が無いことは、出さなくてよいという意味ではありません。長野県と山梨県の条例には罰則がありませんが、届出そのものは求められています。

県ごとの根拠

富山県
富山県登山届出条例1966年(昭和41年)施行受理されると登山届済書が交付され、登山中の携行が求められる
https://www.pref.toyama.jp/1709/turugidaketozan_winter.html
2026-08-27 に内容を確認
群馬県
群馬県谷川岳遭難防止条例1967年(昭和42年)施行
https://www.pref.gunma.jp/page/1583.html
2026-08-27 に内容を確認
岐阜県
岐阜県北アルプス地区及び活火山地区における山岳遭難の防止に関する条例2014年12月施行。対象の活火山はその後も追加されている岐阜県のサイトはこちらから取得が通らず、現物を確認できていない(2026-08-27)
https://www.pref.gifu.lg.jp/page/11975.html
内容は未確認(下の注記)
新潟県
新潟焼山における火山災害による遭難の防止に関する条例2015年6月施行
https://www.pref.niigata.lg.jp/sec/bosaikikaku/yakeyama.html
2026-08-27 に内容を確認
長野県
長野県登山安全条例2015年12月施行。届出の義務は2016年7月から県はオンラインでの届出を推奨している
https://www.pref.nagano.lg.jp/kankoki/tozanjorei/tozanjorei.html
2026-08-27 に内容を確認
石川県
石川県白山における火山災害による遭難の防止に関する条例2017年施行
https://www.pref.ishikawa.lg.jp/bousai/bousai_g/hakusan_kazan/jorei.html
2026-08-27 に内容を確認
山梨県
山梨県登山の安全の確保に関する条例2017年10月施行
https://www.pref.yamanashi.jp/kankou-sgn/tozan_sangakujouhou.html
2026-08-27 に内容を確認
静岡県
静岡県富士登山条例2025年施行登山届とは別の制度。遭難対策の届出ではなく、入山の手続きと入山料
https://www.pref.shizuoka.jp/kankosports/kanko/mtfuji/1002809/1072062.html
2026-08-27 に内容を確認

登山届とは別の制度

富士山には、遭難対策の届出とは別に、入山そのものの手続きがあります。静岡県は「静岡県富士登山条例」(2025年施行)で、富士山の静岡県側3ルート(富士宮・御殿場・須走)。事前登録と事前学習の修了、入山証が必要です。登山届を出したから入山できる、という関係ではありません。

この記事の限界

ここに書いたのは都道府県の条例だけで、市町村の条例は含みません。 一覧の根拠は一般財団法人 地方自治研究機構の条例一覧(2026年8月確認)で、そこから各県の公式ページに当たって対象区域と罰則を確かめました。岐阜県のページだけは、こちらから取得が通らず現物を確認できていません。条例は改正されます。実際に登る前に、必ず上の県のページで最新の内容を確かめてください。