遭難者の3人に1人は登山以外

警察庁は、遭難した人が何をしに山へ入っていたかを16の区分で公表しています。 登山が最も多いのは確かですが、それが全部ではありません。
登山は7割弱
2025年の遭難者3,623人のうち、 登山中だったのは2,488人 (68.7%)です。 残る1,135人、およそ3人に1人は登山以外の目的で山に入っていました。 山菜・茸採り、観光、仕事、釣り。装備も、行くつもりだった時間も、登山とは違います。
数値を表で見る
| 目的 | 遭難者数 |
|---|---|
| 登山 | 2,488 |
| 山菜・茸採り | 235 |
| ハイキング | 209 |
| スキー | 123 |
| 観光 | 103 |
| その他 | 95 |
| スキー登山 | 86 |
| 作業 | 61 |
| 沢登り | 45 |
| 岩登り | 38 |
| 自然観賞 | 35 |
| 渓流釣り | 27 |
| 不明 | 27 |
| 写真撮影 | 21 |
| 狩猟 | 16 |
| 山岳信仰 | 14 |
区分は警察庁の公表どおりです。当サイトの標準カテゴリーには丸めていません。 目的別の合計は年別の遭難者総数と一致します (2020〜2025年の6年とも1人単位で一致することを確認しています)。
この6年で、中身が入れ替わっている
遭難者の総数は2020年から2025年で増えていますが、増え方は目的によってまるで違います。
| 目的 | 2020年 | 2025年 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 登山 | 1,681人 | 2,488人 | +48% |
| 山菜・茸採り | 381人 | 235人 | -38% |
| ハイキング | 233人 | 209人 | -10% |
| スキー | 52人 | 123人 | +137% |
| 観光 | 33人 | 103人 | +212% |
| その他 | 65人 | 95人 | +46% |
| スキー登山 | 43人 | 86人 | +100% |
| 作業 | 38人 | 61人 | +61% |
| 沢登り | 42人 | 45人 | +7% |
| 岩登り | 39人 | 38人 | -3% |
| 自然観賞 | 22人 | 35人 | +59% |
| 渓流釣り | 40人 | 27人 | -33% |
| 不明 | 5人 | 27人 | +440% |
| 写真撮影 | 13人 | 21人 | +62% |
| 狩猟 | 6人 | 16人 | +167% |
| 山岳信仰 | 4人 | 14人 | +250% |
| 全体 | 2,697人 | 3,623人 | +34% |
最新年で50人以上ある区分に限ると、増えたのは観光(+212%)、スキー(+137%)、スキー登山(+100%)です。 逆に減っているのはハイキング(-10%)、山菜・茸採り(-38%)だけです。
数値を表で見る
| 年 | 登山の割合 |
|---|---|
| 2020 | 62.3 |
| 2021 | 64.9 |
| 2022 | 66.5 |
| 2023 | 66.3 |
| 2024 | 67.5 |
| 2025 | 68.7 |
当サイトによる計算です。警察庁が割合として公表しているものではありません。
この数字から言えないこと
目的別に、死者が何人かは公表されていません。したがって「どの目的が危ないか」は、このデータからは言えません。 山菜・茸採りの遭難が減っているのも、その行為が安全になったことを意味しません。入る人が減ったのか、公表の仕方が変わったのか、統計には書かれていません。
同じ理由で、登山の割合が上がっていることも「登山が危険になった」ではありません。分母にあたる入山者数は誰も把握していないからです。 この記事が示しているのは、遭難した人の内訳が変わってきたという事実だけです。
備えるとしたら
登山以外の目的で山へ入る人は、そもそも「登山をしている」つもりがありません。 近所の裏山へ山菜を採りに行く、紅葉を見に少しだけ歩く。計画書も、地図も、余分な防寒具も持ちません。それでも遭難した3,623人のうち1,135人はそういう人たちです。
原因の内訳は 遭難の原因は道迷いが最も多い に、 見つけてもらうために必要なことは 連絡手段の有無で捜索が変わる にあります。 短時間のつもりでも、行き先と帰る時刻を誰かに伝えておくことは同じように効きます。