遭難の原因別に、結果がどう違うか
警察庁の確定統計は、原因は原因だけ、結果は結果だけを別々に公表しています。原因と結果を掛け合わせた集計は公表されていません。この表は、個別の事案を公表している警察本部から取り込んだ250人分を、山岳遭難.comが集計したものです。全国の遭難を代表するものではありません。
対象は埼玉県警察本部 地域部地域総務課(埼玉県・199件)、警視庁 青梅警察署 山岳救助隊(東京都・51件)が公表した事案だけです。2024年2月3日〜2026年7月25日に発生したものを含みます。全国の状況は 山岳遭難統計 をご覧ください。
原因 × 結果
| 原因 | 死亡 | 負傷 | 無事救助 | 結果不明 | 計 |
|---|---|---|---|---|---|
| 滑落 | 14 | 48 | 1 | 3 | 66 |
| 転倒 | 0 | 56 | 0 | 0 | 56 |
| 道迷い | 1 | 0 | 8 | 37 | 46 |
| 病気 | 1 | 1 | 1 | 20 | 23 |
| その他 | 0 | 2 | 4 | 15 | 21 |
| 疲労 | 0 | 1 | 6 | 12 | 19 |
| 転落 | 1 | 8 | 0 | 0 | 9 |
| 落石 | 0 | 3 | 0 | 0 | 3 |
| 不明 | 5 | 0 | 0 | 2 | 7 |
| 全体 | 22 | 119 | 20 | 89 | 250 |
単位は人です。1つの事案に複数の遭難者が含まれる場合、それぞれを1人として数えています。 行方不明とその他は、該当があるときだけ列として出します。「無事救助」に混ぜることはしません。
割合を出せるのは、結果が公表されている原因だけ
250人のうち、結果が公表されているのは161人で、 残る89人は公表されていません。この「不明」は原因によって偏っています。怪我をして救助された事案は結果まで書かれますが、 自力下山や捜索打ち切りで終わった事案は、その後が書かれないためです。
| 原因 | 全件 | 結果不明 | 不明の割合 |
|---|---|---|---|
| 道迷い | 46人 | 37人 | 80% |
| 病気 | 23人 | 20人 | 87% |
| その他 | 21人 | 15人 | 71% |
| 疲労 | 19人 | 12人 | 63% |
たとえば道迷いは、46人のうち37人の結果が分かりません。 残った少数だけで「死亡率」を計算すると、結果が公表された事案だけを集めた数字になります。母集団が違うものを比べることになるため、このサイトでは、結果不明の多い原因の死亡率は出しません。
同じ「落ちる・転ぶ」でも、滑落と転倒は結果が違う
結果不明が1割未満で、件数も20人以上ある原因に限ると、次のようになります。滑落は63人中14人(22%)が 亡くなっているのに対し、転倒は56人中0人(0%)です。
| 原因 | 結果が判明 | 死亡 | 死亡の割合 | 結果不明 |
|---|---|---|---|---|
| 滑落 | 63人 | 14人 | 22.2% | 5% |
| 転倒 | 56人 | 0人 | 0.0% | 0% |
件数が20人に満たない原因は、1人増えるだけで割合が大きく動くため、この比較には入れていません。
警察庁の統計は「滑落・転落」を1つの区分にまとめて公表している年があり、 しかも結果との掛け合わせがないため、この違いは全国の統計からは見えません。 個別の事案を1件ずつ持っているからこそ出せる数字です。 転ぶことと滑り落ちることは、起きる場所も、備え方も違います。
この集計の限界
- 対象が埼玉県警察本部 地域部地域総務課・警視庁 青梅警察署 山岳救助隊に限られており、特定の地域の山に偏っています。全国の傾向として読まないでください。
- 原因は情報源の発表文をもとに分類したものです。 1つの事案に複数の要因があっても、発表されている主たる原因1つで数えています。
- 結果は公表時点のものです。搬送後に容体が変わっても、追跡はしていません。
- 件数の多い原因ほど危険、ではありません。分母(その原因で山に入っている人の数)は誰も把握していないためです。
あわせて読む
原因の全国的な内訳は 遭難の原因は道迷いが最も多い に、 年代と結果の関係は 年代が上がるほど結果が重くなる にまとめています。 個別の事案そのものは 事案一覧 から見られます。 分類の定義は データ定義・掲載方針 にあります。